微生物応用技術研究所研究報告集 第11巻 平成19年度 p.21-36
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2.炭酸,硫酸および塩素の施用下で生育したコマツナの硝酸,有機酸,遊離アミノ酸,ミネラルイオン(陽イオン)および糖含量
中川祥治・亀卦川和宏・野村美保子(財団法人微生物応用技術研究所)
肥料の副成分である炭酸,硫酸および塩素の施用下で栽培したコマツナ(Brassica campestris var. perviridis)の硝酸,有機酸,アミノ酸,ミネラルイオン(陽イオン)および糖含量を比較した.コマツナを淡色黒ボク土が充填された1/2000aのワグネルポットで,ガラスハウス内において37日間栽培した.炭酸,硫酸および塩素はカリウム塩としてポットあたり26.5 mmolcを施用した.これらの処理を,収穫前の土壌水ポテンシャル-6.2および-62 kPaの両方で実施した.乾物あたりの成分含量比較において,塩素施用区のコマツナはカリウム,カルシウムおよびマグネシウムイオン含量が相対的に高く,リンゴ酸,グルコースおよびフラクトース含量が低かった.炭酸施用区ではリンゴ酸含量が高く,硝酸含量が低かった.硫酸施用区は他の2処理区の中間的な傾向を示した.コマツナのアミノ酸含量に顕著な処理間差は無かった.これらの傾向は2水準の土壌水ポテンシャル条件下でおおむね同様であった.測定したコマツナの各成分および水分の量的関係から,本実験における成分含量の変動は,主に吸収された塩素,硝酸および硫酸に対するコマツナ内のイオンおよび浸透圧のバランス調節により生じたと判断できた.硝酸の吸収は,土壌pHに影響されたと考えられる.リンゴ酸,グルコースおよびフラクトースの処理間差は,新鮮物あたりでも前述の乾物あたりと同程度に明確であった.
キーワード:副成分、イオンバランス、葉菜、浸透圧バランス、品質