微生物応用技術研究所研究報告集 第11巻 平成19年度 p.7-20
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特別報告


1.生ゴミ堆肥の施用がコマツナの生育・収量に及ぼす影響

伊豆の国市クリーン課(旧韮山町環境衛生課)

地域で発生する有機性廃棄物の代表格である生ゴミを堆肥化し、その堆肥の畑作利用への可能性を見い出す為、生ゴミ堆肥がコマツナの生育および収量に及ぼす効果について調査した。生ゴミ堆肥は2t施用区と4t施用区と2水準とし、比較対照として市販の牛糞堆肥区、化学肥料区を設け、秋作栽培を2年間継続した。1年目に使用した生ゴミ堆肥は、窒素無機化率がマイナスの値を示し、コマツナ発芽試験では、幼根伸長が阻害され、畑での栽培では対照の化学肥料区や牛糞堆肥区に比べ、生育と収量が低いとの結果が得られた。その為2年目は、生ゴミを牛糞や戻し生ゴミ堆肥を活用して堆肥化し、コマツナ栽培に用いた。その結果、改良生ゴミ堆肥は、改良前の生ゴミ堆肥に比べ堆肥成分にそれほどの変化はなかったにもかかわらず、コマツナの生育や収量は、明瞭に増加した。その理由のひとつに土壌中における窒素無機化率がマイナスからプラスに転じたこと、発芽試験の結果からコマツナ根の伸長阻害が緩和されたことなどが考えられた。土壌の化学性については、その施用によって、全炭素(腐植)や全窒素の増加、pH値の改善がみられ、本生ゴミ堆肥は土づくり資材としての効果も期待できると考えられた。