微生物応用技術研究所研究報告集 第10巻 平成18年度 p.7-16
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原著論文


1.自然農法による多品目栽培の計画に関する基本概念

谷口曜夫(財団法人微生物応用技術研究所)

食が健康に大きな影響を与えている事実が明らかになりつつある今日、有機農業に関する国の法制度化が進み、国民の有機農業への関心と期待は高まりつつある。しかし、小規模経営が多い有機農家の経営は厳しく、地産地消運動が高まるなかにあって、消費者の需要を踏まえ、多品目栽培に向けた計画の効率的な立案が経営の向上に不可欠である。 そこで本稿では、青森県の自然農法実施農家の多品目栽培について実態調査を行い、多品目栽培がどのような考え方に基づき計画立てられ機能しているか、レタスを例に取り上げ整理を試みた。 それによれば、農家は過去の実績や消費者からの意見などに基づき、新栽培年度の農作物の需要を予想するとともに、それぞれの農作物の特性を把握した上で、収穫期間、播種量、定植数、播種や定植の時期、必要面積等々を考慮し、自ら所有する農地や労働力、機械・道具などの制約も踏まえ、準備周到、複雑な栽培計画を構築しており、農家には高度な計画立案能力が求められることが明らかになった。

キーワード:有機農法、地産地消、多品目栽培、自然農法、栽培計画