微生物応用技術研究所研究報告集 第7巻 平成15年度 p.7-17
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助成研究報告


1.低投入持続型を目指したマメ科緑肥草生マルチ不耕起水稲栽培における雑草発生、養分供給から見た収量持続性に関する若干の検討

日鷹一雅・上野秀人・嶺田拓也(愛媛大学農学部附属農場)

外部エネルギー低投入持続型の栽培技術の一つとして、マメ科緑肥草生被覆・不耕起栽培法に注目し、連続栽培実験を行った4年目1998年度について報告した。収量は前年度までの実験結果では、レンゲ、ヘアリーベッチ、シロクローバーの各種マメ科緑肥区で反収500kgレベルの比較的高い収量性が無農薬、無施肥、無除草条件で得られたが、4年目は前年度比で、レンゲで28%、ヘアリーベッチで18%、クローバーで14%、対照区で58%減収した。この4年目における減収原因について、緑肥作物と雑草の生育量を含む植物群落の調査と窒素とカリウムについての地力診断を行うことによって検討を行い、本栽培法における技術修正について考察を行った。各マメ科緑肥は前年度よりも生育量はヘアリーベッチで同程度、レンゲは9倍、クローバーでは3倍となり、十分な窒素養分の供給がなされていると判断できた。しかし雑草の発生量は、冬雑草で15~23倍、夏雑草も4.5~9.5倍と大きく増加した。土壌深度別のカリウム、アンモニア態窒素の濃度は、分げつ期を過ぎると著しく低下する傾向にあり、水稲と雑草の養分競合が激化したことを物語っていた。したがって、本栽培法による連続栽培を続けた場合に、無除草では雑草害が年々増加し、今回のような大発生が生じ減収が生じるので、栽培開始初期年度より、ノビエ類、イヌホタルイのような強害雑草の除草行為が必要であると考えられた。

キーワード:草生マルチ、マメ科緑肥、不耕起、雑草管理、地力、低投入持続型水稲栽培