微生物応用技術研究所研究報告集 第6巻 平成14年度 p.41-56
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原著論文
3.食品廃棄物としてのソバがらおよびソバ粉を原料としたコンポストの農業利用に関する基礎的研究
加藤孝太郎・三浦伸章(財団法人微生物応用技術研究所)
食品廃棄物としてのソバがらおよびソバ粉を有効利用するために、ソバがらやソバ粉で製造したコンポストの農地還元について検討を行なった。実験には自家製ソバがらコンポストおよび市販ソバがらコンポストを用い、さらに比較のために市販コーヒー粕コンポスト、市販茶がらコンポストおよび自家製牛糞コンポストを供試した。各コンポストの理化学性を調べたところ、C/N比は自家製ソバがらコンポスト、市販ソバがらコンポスト、市販茶がらコンポストで小さかった。リン、カリウム、ミネラル(Ca, Mg, Na)含量は市販茶がらコンポストが最も多く、次いで市販ソバがらコンポストであり、市販コーヒー粕コンポストが最も少なかった。無機態窒素含量は自家製ソバがらコンポストが最も多かった。無機態窒素の中でも、自家製ソバがらコンポストはアンモニウムイオン含量が多く、市販茶がらコンポストは硝酸イオン含量が多かった。ソバがらコンポストの高い窒素含量は、原料のソバ内皮やソバ粉に由来することが示された。コマツナ発芽試験では、自家製ソバがらコンポストでのみコマツナの発芽阻害が認められた。コマツナ生育に対する施用効果は、自家製ソバがらコンポストが最も高かった。これらの結果より、食品廃棄物としてのソバがらやソバ粉を原料としたコンポストは、農業利用の観点から高い有効性があることが示唆された。
キーワード:コンポスト、ソバがら、ソバ粉、コーヒー粕、茶がら、牛糞、食品廃棄物