微生物応用技術研究所研究報告集 第6巻 平成14年度 p.25-39
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原著論文
2.土壌管理の異なるキャベツ畑地土壌の微生物的,生化学的特徴
田渕浩康1・東陽子1・河原崎秀志2・仁王以智夫1(1 財団法人微生物応用技術研究所 2 NPO法人MOA自然農法文化事業団)
土壌管理の異なるキャベツ畑地土壌について、微生物性や生化学的特性の比較検討を行った。化学肥料区、牛糞堆肥区、そして草質堆肥区において2年間4作のキャベツの連作栽培を実施している土壌の化学性は、2つの堆肥区では全炭素、全窒素、有効態リン酸、そして可給態窒素含量の増加がみられ、化学肥料区では置換性カルシウムや置換性マグネシウムなどの塩基類の溶脱、pHの低下、そして可給態窒素の減少がみとめられた。微生物性では、希釈平板法を用いた好気性一般細菌密度および放線菌密度において明瞭な違いがみられなかったが、蛍光性Pseudomonas密度では牛糞堆肥区>草質堆肥区>化学肥料区の順であった。生化学的特性では、呼吸活性と微生物バイオマス炭素が草質堆肥区>牛糞堆肥区>化学肥料区となり、FDA加水分解活性やセルラーゼ活性では草質堆肥区>牛糞堆肥区≧化学肥料区であった。単位バイマス炭素当たりの呼吸活性、単位バイマス炭素当たりのFDA加水分解活性、そして単位バイマス炭素当たりのセルラーゼ活性では、いずれも化学肥料区>牛糞堆肥区>草質堆肥区の順の傾向であった。これらの実験から、施肥される資材の違いを表す指標として、土壌の生化学的特徴では単位バイマス炭素当たりの呼吸活性、単位バイマス炭素当たりのFDA加水分解活性、そして単位バイマス炭素当たりのセルラーゼ活性が、また生物的特徴では蛍光性Pseudomonas密度が候補となりうることが示唆された。
キーワード:細菌密度、土壌の生化学性、フルオロセイン二酢酸(FDA)加水分解活性、セルラーゼ活性、呼吸活性、微生物バイオマス炭素、キャベツ、蛍光性Pseudomonas、堆肥