微生物応用技術研究所研究報告集 第5巻 平成13年度 p.7-16
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助成研究報告


1.有用微生物の植物に対する定着・抵抗性誘導能力の遺伝的解明と改良

瀧川雄一・熊倉貴・今西悠基子・井上康宏・アリト-スサンタ(静岡大学農学部)

生物防除資材として利用される蛍光性Pseudomonas属のP. fluorescensに存在する病原性支配遺伝子であるhrp遺伝子が定着能力や抗菌活性に対して有効に機能しているのか、またそれ以外の遺伝因子による影響はないのかを調査した。まず、P. fluorescens PfG32R株のhrpS遺伝子相同領域に相同組み換えを用いて突然変異を導入したが、得られた変異株は抗菌活性やプロテアーゼ生産能力が欠失していた。このような形質を支配する遺伝子として知られるgacA, gacS遺伝子がPfG32R株においても存在することを明らかにし、gacS遺伝子についてはクローニングに成功した。gacS遺伝子のクローンを導入することによってプロテアーゼ生産能力の回復が認められた。一方、PfG32Rのhrp遺伝子群にはhrpA, Z, B遺伝子が欠損していることから、これらを有するP. syringae pv. syringaeのhrp遺伝子クローンを導入してタバコ過敏感反応を指標として相補試験を行ったが、hrp遺伝子のほぼ全領域を有するクローンpHIR11のみが過敏感反応を誘導させ、hrpL, I, J, など左側のさまざまな領域を欠失したクローンでは誘導がみられなかった。このことより、P. fluorescens PfG32R株が過敏感反応を誘導できないのはhrpA, Z, B遺伝子が欠損しているのみでなく、別の理由があると推定された。

キーワード:蛍光性シュードモナス、hrp遺伝子、gac遺伝子、過敏感反応