微生物応用技術研究所研究報告集 第3巻 平成11年度 p.87-94
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助成研究
8.緑肥施用に伴う畑作物の生育障害回避のための非病原性Pythium属菌の利用に関する研究
-緑肥分解過程におけるPythium属菌の動態-東條元昭・中山佳代子・三村浩子(大阪府立大学農学部)
緑肥の分解に伴う畑作物の生育障害の回避に非病原性Pythium属菌を利用するために、緑肥分解過程におけるPythium属菌の動態を北海道江別市と大阪府堺市の野菜畑で調べた。Pythium属菌の密度は緑肥施用の10~20日後に最高値に達した後に、30日後にかけてに減少し、その後60日後まで漸減した。菌密度の増加率はエンバク施用区よりもアカクローバ施用区で高かった。このような緑肥施用後のPythium属菌の密度変化は江別市と堺市で同様に認められた。緑肥施用後に増加した種構成を調べたところ、P. ultimum, P. spinosum, Pythium 'group HS', P. irregulareおよび未記載のPythium属菌を含む病原種9種が Pythium属菌全体の分離株数の80%以上を占めた。一方、P. ultimumに拮抗性を示す非病原種のP. oligandrumが、江別市と堺市の両地点で緑肥施用前後の土壌中に認められた。
キーワード/Keywords
生物防除資材/biocontrol agents、緑肥分解/decomposition of green manure、菌間寄生性/mycoparasitism、非病原性Pythium属菌/non-pathogenic Pythium spp、病原性Pythium属菌/pathogenic Pythium spp.