微生物応用技術研究所研究報告集 第3巻 平成11年度 p.79-86
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助成研究


7.微生物の植物定着能力に関与する遺伝子の研究

瀧川雄一・熊倉 貴・今西悠基子・井上康宏(静岡大学農学部)

植物病原細菌の病原性に関与する遺伝子のいくつかが腐生細菌においてはその定着能力に関与しているのではないかという観点から、生物防除資材として利用される蛍光性Pseudomonas属のP. fluorescensについてhrp遺伝子の検出とクローニングを試みた。その結果P. fluorescensにおいてhrp遺伝子のクローニングに成功し、さらにそのかなりの部分においてシークエンスを明らかにすることに成功した。それにより、P. fluorescensではhrp遺伝子群の多くの領域が保存されていたが、病原細菌において過敏感反応を誘導するタンパクであるhrpZ遺伝子や、それを菌体から植物細胞内へ注入する針の役目を果たすハープ線毛であるhrpA遺伝子が欠落しており、このことがP. fluorescensを腐性菌たらしめているものと推察された。

キーワード/Keywords
Pseudomonas fluorescens、hrp遺伝子/hrp genes、定着能力/epiphytic fitness、生物防除/biological control