微生物応用技術研究所研究報告集 第2巻 平成10年度 p.97-107
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助成研究


9.土壌生態系に及ぼす農薬の影響評価方法に関する研究

山本広基・井藤和人・巣山弘介(島根大学生物資源科学部)

農薬の土壌生態系への影響については古くから関心が持たれ、ヨーロッパでは1980年代からその評価試験法についての提案がなされてきた。日本においても約20年にわたって種々議論されてきたが近年それらをまとめた形で「農薬の土壌生態系影響評価のための推奨試験」が提案された。本研究では、そこに述べられた試験法によって導かれるデータの精度に関して検証するとともに、その推奨試験法によるモデル試験として除草剤ベンスルフロンメチル(DPX)を用いた試験を行った。試験法に関してはその操作性に問題はなく、若干の修正を加えることによって十分機能するものと考えられた。また、DPXは乾土効果および微生物バイオマスには影響がなく、硝化作用に対する抑制的な影響が認められた。ただし、この影響は一時的なもので28日以内には完全に回復することが明らかとなった。

キーワード:農薬、影響評価、副次的効果、土壌微生物、微生物活性