微生物応用技術研究所研究報告集 第2巻 平成10年度 p.85-96
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助成研究
8.物質循環解明に基づく環境保全型土壌管理技術の基本解明
山室成一(佐賀大学農学部)
我が国は現在生産可能量の3倍を超える量の農畜産物や飼料が輸入され、それから派生する有機廃棄物が日本各地に過剰に存在している。これらは垂れ流し状態になっているところが多いと考えられる。これらの汚染を防止するためには有機廃棄物の農地還元リサイクル体系の構築が急務である。そのためには,日本の耕地への有機畜産廃棄物の連用施用可能量、土壌中での有機態窒素の無機化と有機化、硝化・脱窒、作物吸収、流亡等の窒素循環とその制御、作物生育適合の新有機質肥料の開発、水田脱窒機能の促進による硝酸尿処
理技術とNa除去の基本解明が必要である。これらの動態解明は施用有機物と土壌有機物とが間もなく見分けがつかなくなってしまうため、各種の施用有機物窒素を安定同位体の15N(重窒素)で標識し、その動態を解析する以外に方法がない。